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出っ歯や受け口の原因は骨格かも?セファロ分析で歯と顎の位置関係を解き明かす、矯正の精密診断

「出っ歯を治して、口元をすっきりさせたい」
「横顔のラインに自信が持てない」

歯並びに関するお悩みの中でも、特に前歯の突出感や、それに伴う横顔のバランスを気にされる方は少なくありません。

そして、そのお悩みの原因は、実は単なる「歯の傾き」だけではなく、上顎や下顎の大きさ・位置といった「骨格」そのものにあるかもしれません。

この記事では、その骨格的な原因を詳細に分析するための重要な精密検査、「セファロ分析」について詳しく解説します。

セファログラム

歯並びが乱れる原因は、大きく分けて2つのタイプがあります。

一つは、顎の骨の大きさや位置には大きな問題がなく、主に歯の生えている位置や傾きが原因となっている「歯槽性の不正咬合」です。

もう一つは、歯だけでなく、上顎や下顎の大きさ、形、前後関係といった骨格的なズレが主な原因となっている「骨格性の不正咬行」です。

この二つを正確に見分けることは、矯正治療において非常に重要です。実際に、セファロ分析が不正咬合の原因を歯性か骨格性か、高い精度で分類するために不可欠な診断ツールであることは、複数の研究を統合した報告(システマティックレビュー)でも示されています。

原因によって最適な治療法は大きく異なり、「骨格性」が原因の場合、歯を動かすだけでは理想的な改善が難しい、あるいは後戻り(治療後に歯並びが元に戻ってしまうこと)のリスクがあるため、骨格を考慮した治療計画が必要になるのです。

歯槽性骨格性

骨格を”見える化”する「セファロ分析」とは?

そこで登場するのが「セファロ分析」です。
セファロとは、顔を真横や正面から撮影する特殊なレントゲン写真のことで、正式には「頭部X線規格写真」と呼ばれます。特に矯正歯科の精密診断ではなくてはならない検査です。

前回ご紹介したパノラマレントゲンが「お口全体の健康状態を見る地図」だとすれば、セファロは「顔全体の骨格を見る設計図」みたいなものです。

セファロの最大の特徴は、常に同じ規格(撮影する位置や距離)で撮影される点にあります。これにより、治療前と治療後の骨格の変化や、お子様であれば成長による変化を、誤差なく正確に比較・評価することができます。

このレントゲン写真に、専門的な分析点をいくつも印付けし、それらを線で結んで角度や距離を計測することで、骨格のバランスや歯の傾きなどを客観的な数値として評価します。この一連のプロセスを「セファロ分析」と呼び、質の高い研究報告においても、矯正治療の診断、治療計画の立案、成長予測、そして治療結果の評価に不可欠なツールであると結論付けられています。

セファロ分析流れ

セファロ分析でわかること|理想の横顔へのヒント

セファロ分析によって、多くの専門的な情報が得られますが、ここでは代表的な4つのポイントをご紹介します。これらは、あなたの理想の横顔を見つけるための重要なヒントになります。

① 上下の顎の大きさや前後関係
いわゆる「出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ)」の原因が、「上顎骨が前に出ている」のか、「下顎骨が小さい、または後ろに引っ込んでいる」のかを判断できます、先ほどの骨格性かどうかを判断します。「受け口(下顎前突:かがくぜんとつ)」についても同様に、原因を特定します。
② 歯の傾きと口元の突出度
前歯がどのくらい前方に傾いているのか、そしてその結果として唇がどれくらい前に出ているのか(口ゴボ)を、客観的な数値として評価できます。これにより、どの歯をどの程度動かせば、口元の突出感が改善されるのかを計画します。前方の傾斜だけではなく逆に後ろに倒れているのも判断します。一般的に角度を分析して歯槽性の判断をしたりします。
歯槽性の傾斜
③ 顔の垂直的なバランス
お顔全体の長さに対して、鼻から下(中顔面・下顔面)の長さがどのようなバランスになっているかを分析します。顔が長いタイプ(面長)か、短いタイプかなどを評価し、笑った時に歯茎が見えやすい「ガミースマイル」や、噛み合わせが深すぎる「過蓋咬合(かがいこうごう)」などの原因究明にも繋がります。
FMA
④ Eライン(エステティックライン)との関係
美しい横顔の基準の一つとして、鼻の先端と顎の先端を結んだ線のことを「Eライン(エステティックライン)」と呼びます。セファロ分析では、このEラインに対して唇がどの位置にあるかを正確に測定できます。この理想的な位置は人種によっても異なるとされ、日本人には日本人の審美的な基準が存在することが研究報告でも示されています。私たちは、こうした科学的データと照らし合わせながら、画一的ではない、あなたのお顔立ちに調和したゴールを設定します。
Eライン

科学的分析が、より良い治療計画に繋がる

セファロ分析によって得られたこれらの客観的なデータは、今後の治療方針を決定する上で極めて重要な役割を果たします。

「抜歯は必要か、必要ならどの歯を抜くべきか」「歯をどの方向へ、どのくらい動かすのが最も効果的か」「場合によっては外科的な手術を併用した方が良いか」といった、治療計画の根幹となる部分を、経験や勘だけでなく根拠(エビデンス)に基づいて判断することが可能になるのです。

例えば、「下顎が小さいことが原因の出っ歯」と診断されれば、単に上の歯を抜いて引っ込めるだけでなく、成長期のお子様であれば下顎の成長を前方に促すような治療を選択したり、成人の方であれば外科矯正を検討したりと、根本原因にアプローチした最適な治療法の提案が可能になります。

このように、科学的な分析に基づいて診断することは、治療のゴールをより明確にし、治療の精度(予知性)を高め、結果的に後戻りのリスク軽減にも繋がるのです。

セファロ分析

まとめ:理想の笑顔は、原因の正確な分析から

美しい歯並びとバランスの取れた横顔。その両方を手に入れるためには、見た目の問題だけでなく、その根本原因を骨格レベルで正確に分析する「セファロ分析」が不可欠です。

ホワイトエッセンス梅田大阪矯正歯科では、このような科学的データに基づいた精密診断を重視しています。一人ひとりの患者様にとって、機能的にも審美的にも最も調和の取れたゴールとは何かを一緒に考え、ご提案することを大切にしています。

次回は、さらに治療の安全性を高めるための3次元診断、「歯科用CT」について詳しく解説していきます。

あなたの横顔のお悩みも、専門的な分析で解決への道筋が見えるかもしれません。
まずは無料カウンセリングで、専門家にご相談ください。


当院はJR大阪駅北口から直結、グランフロント大阪南館4階にございます、関西は大阪梅田、岸和田市、京都市、和歌山市に分院があります。

当院のマウスピース矯正の症例数は5000症例以上(※)あり、ブルーダイアモンドプロバイダーを受賞しております。関西でインビザライン矯正をお探しの方は一度無料相談(相談検査費無料)にお越しください。

※2014~2024年グループ全体の矯正治療症例数


治療内容
カスタムメイドで制作されたマウスピースを定期的に交換しながら少しずつ歯に適切な力をかけて歯並びを整えていく矯正治療です。
標準的な費用(自費)
矯正治療費、相談・検査・診断料 無料、調整料 無料
インビザライン(マウスピース治療)
198,800円〜899,800円(税込)
治療期間及び回数
症状によりますが、一般的に2年前後の治療期間となります。
通院回数は、治療段階によりますが、通常2〜3ヶ月に1回です。
副作用・リスク
装着時間が少ないと治療期間が長引く可能性があります。
他の矯正治療法と同様に、疼痛・歯根吸収・歯肉退縮の可能性や適切な保定をしないと治療後に後戻りすることがあります。
医薬品医療機器等法(薬機法)に関する記載事項
・インビザライン完成物は、日本国内において薬機法未承認の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
尚、インビザラインの材料自体は、日本の薬事認証を得ています。
・「インビザライン」は米国アライン・テクノロジー社の製品の商標であり、インビザリアン・ジャパン社から入手しています。
・日本国内においては、同様の医療機器が薬事認証を得ています。
・インビザライン・システムは、世界100カ国以上の国々で提供され、これまでに900万人を超える患者さまが治療を受けています。(2020年10月時点)

参考文献

  • Ishikawa, H., et al. (2000). “A study on the relationship between the anteroposterior position of the lower incisors, the facial profile and the esthetic preference in Japanese.” The Angle Orthodontist, 70(4), 297-303.
  • Kaur, H., et al. (2015). “Cephalometric analysis in orthodontic diagnosis and treatment planning.” Journal of Advanced Medical and Dental Sciences Research, 3(3), 1-6.
  • Katyal, V., et al. (2014). “The reliability of skeletal classification using the ANB angle.” Seminars in Orthodontics, 20(4), 279-291.
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