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一卵性双生児でも「歯並び」は全く違う?DNAが同じでも歯は”究極の個人情報”だった

こんにちは、ホワイトエッセンス梅田大阪矯正歯科です。

突然ですが、こんな疑問を持ったことはありませんか。「一卵性双生児って、歯並びも同じなんじゃないの?」

同じ遺伝情報を持ち、見た目がそっくりな双子。しかし歯の世界では、DNAが完全に一致する一卵性双生児でも、歯並びや噛み合わせは一人ひとり異なることがあると報告されています。

この問いに向き合ってきたのが、オーストラリア・アデレード大学歯学部のTownsend教授らのグループです。1980年代から40年以上、900組を超える双生児とその家族を追い続けた歯科研究から、「遺伝と歯並び」の関係が少しずつ明らかになってきました。あわせて、「法歯学(法医歯科学)」という分野から見た、歯が持つ個人情報としての意外な側面もお伝えします。

双子

2. 「遺伝率」でわかる歯の特徴ごとの違い

「遺伝率(h²)」とは、ある特徴の個人差のうち遺伝的要因が占める割合を示す指標です。100%に近いほど遺伝の影響が強く、低いほど環境や習慣の影響が大きいことを意味します。

Townsend教授らの研究では、歯の各特徴について遺伝率が算出されています。研究によって値に差が生じることを踏まえつつ、この研究で示された数値は次のとおりです。

特徴別・遺伝率の目安

歯列弓の長さ(アーチの奥行き)
この研究では遺伝率 約92% と報告されています。歯の「土台」となるアーチの大きさは、遺伝の影響が特に強い特徴のひとつとされています。
歯列弓
歯列弓の幅(アーチの横幅)
遺伝率 約82% と報告されており、顎の横幅も強い遺伝的背景を持つと考えられています。
歯列幅径
歯の大きさ(近遠心径)
遺伝率 約59〜61% と報告されており、遺伝と環境がおよそ半々で影響するとされています。
歯幅径
噛み合わせの深さ(オーバーバイト)
遺伝率 約53% と報告されており、遺伝と環境の両方が関与します。
オーバーバイトオーバージェット
前歯の飛び出し(オーバージェット=いわゆる出っ歯)
この研究では遺伝率 約28% と報告されており、歯の特徴の中で比較的環境・習慣の影響が大きいとされています。「親が出っ歯だから遺伝で仕方ない」とは一概に言い切れないことを示しています。

※Townsend教授らの研究による情報です。他の研究毎に割合も異なったりします。

3. 同じDNAでも「歯の本数」が異なることがある

同研究では、さらに注目すべき事実が報告されています。278組の一卵性双生児を調べたところ、24組(約8.6%)で「先天性歯牙欠如(生まれつき歯が少ない)」の有無が双子の間で異なることが確認されました。そのうち21組(約87.5%)は、片方にだけ欠損があり、もう一方にはないという不一致でした。

100%同じ遺伝情報を持ちながら、一人には歯があり、もう一人にはその歯が生まれつき存在しない。この現象について研究者たちは、エピジェネティクスなどの影響が関与している可能性を指摘しています。

エピジェネティクスとは

エピジェネティクスとは、遺伝子の配列そのものは変わらなくても、「どの遺伝子をどのタイミングで働かせるか」という調節が環境によって変わる仕組みのことです。同じ設計図から異なる建物が建つ、とでも言えばイメージしやすいかもしれません。

双子が母親の胎内で過ごす際の、栄養の受け取り方のわずかな差やホルモン環境の違いが、歯の芽(歯胚)の形成に影響し得ると考えられています。ただし現段階では、これはあくまでも「可能性のひとつとして指摘されている」レベルの知見です。

4. 乳歯が生える時期は遺伝の影響が強い

「うちの子、なかなか歯が生えてこない」と心配されるご親御さんも多いですが、乳歯が生える時期については遺伝の影響が強いと報告されています。同研究の予備的な分析では、乳歯の生える時期に遺伝的要因が大きく関与することが示されており、「お母さんも歯が生えるのが遅かったから」という感覚には一定の科学的背景があると言えます。

一方、一旦生えてきた歯が「どのように並ぶか」「どんな噛み合わせになるか」には、その後の習慣や成長環境が重なります。遺伝で決まる部分と、日々の積み重ねで変わる部分の両方があるのが、歯並びの特徴です。

5. 法歯学が示す「歯の個人情報としての価値」

「歯型から身元を特定する」シーンを映画や報道で目にしたことがある方もいるかもしれません。これは「法歯学(法医歯科学)」と呼ばれる分野の実務です。

大規模災害や事故が発生した際、身元確認の手段として歯科記録が活用されることがあります。歯は熱や水への耐性が高く、治療痕・歯の形態・並びのパターンを組み合わせると非常に個人差が大きく、身元確認に有効とされています。「完全に唯一」と断言することは難しいものの、歯の特徴の組み合わせは個人を識別するうえで高い有用性があると考えられています。

口蓋ひだ(口の天井のしわ)も注目されています

近年、「口蓋ひだ(palatal rugae)」——上顎の天井(口蓋)前方にある不規則なしわ状の構造——も個人識別の手がかりとして研究が進んでいます。

シカゴ大学イリノイ校のTaneva博士(2014年)の研究では、口蓋ひだのパターンは個人ごとに異なり生涯にわたって安定していること、また矯正治療を受けても口蓋ひだパターンに統計的な有意差は認められなかったことが報告されています。3Dデジタルスキャンを使った照合技術の開発も進んでおり、交通事故や大規模災害時の身元確認への応用が期待されている段階です。矯正歯科で日常的に取得されるデジタルモデルが将来的に法医学へ役立てられる可能性も指摘されています。

口蓋ひだ

6. 「遺伝だから仕方ない」は半分間違い——矯正が有効な理由

「親が出っ歯だから、自分も遺伝でこうなった」「矯正しても意味がないかも」——こう感じている方もいるかもしれません。

しかし今回ご紹介したデータを見ると、前歯の飛び出し(オーバージェット)の遺伝率はこの研究では約28%と報告されており、遺伝だけでなく後天的な習慣の影響も大きいとされています。関与する可能性のある要因としては次のものが挙げられます。

  • 口呼吸:口が開いたまま呼吸する習慣があると、上の前歯を前方へ押す力が日常的にかかり続けます
  • 指しゃぶりや爪を噛む癖:同じ方向への力が長期間加わることで、歯の位置が変化しやすくなります
  • 舌の置き場所(低位舌):安静時に舌が下あごに落ちていると、前歯の内側を支える力が働かなくなります
  • 食の軟食化:かむ機会が少ない食生活は、顎の骨の発達に関わる可能性があります

いずれも日常の延長線上にある要因です。裏を返せば、こうした習慣由来の歯並びは矯正治療でアプローチできる余地があります。

7. まとめ

この記事のポイント

  • 一卵性双生児でも、歯並び・噛み合わせ・歯の本数は異なることがある
  • 歯列弓の大きさは遺伝の影響が強く(この研究では約82〜92%)、前歯の飛び出しは環境・習慣の影響が比較的大きい(約28%)と報告されている
  • 同じDNAでも歯の発育に差が出ることがあり、エピジェネティクスなどの関与が一因として指摘されている
  • 歯の特徴の組み合わせは個人差が非常に大きく、法歯学での身元確認に活用されている
  • 口蓋ひだも個人識別への応用が研究されている段階
  • 「遺伝だから諦める」のではなく、矯正治療で改善できる余地は十分にある

遺伝と環境が組み合わさって、あなただけの歯が出来上がっています。言い換えれば、どちらかに働きかけることが治療の出発点になります。「どうせ遺伝だから」と長年もやもやしていた方は、一度その思い込みをリセットしにいらしてください。

8. 医院のご紹介

ホワイトエッセンス梅田大阪矯正歯科は、大阪・梅田のグランフロント大阪南館4Fに位置する矯正専門歯科です。インビザラインをはじめとするマウスピース矯正から、ワイヤー矯正まで幅広い治療オプションをご用意しています。

「自分の歯並びは遺伝だから…」と諦めていた方も、まずは無料カウンセリングで現状を確認してみてください。歯の状態を精密に診断し、あなたに最適な治療プランをご提案いたします。

参考文献

  • 1. Townsend GC, Richards L, Brearley Messer L, Hughes T, Pinkerton S, Seow K, et al. Genetic and environmental influences on dentofacial structures and oral health: Studies of Australian twins and their families. Twin Res Hum Genet. 2006;9(6):727-732. doi:10.1375/twin.9.6.727
  • 2. Townsend G, Richards L, Hughes T, Pinkerton S, Schwerdt W. Epigenetic influences may explain dental differences in monozygotic twin pairs. Aust Dent J. 2005;50(2):95-100.
  • 3. Townsend G, et al. New approaches to dental anthropology based on the study of twins. In: Dental Anthropology: Fundamentals, Limits, and Prospects. Springer. [JSTOR]
  • 4. Taneva E. 3D evaluation of palatal rugae for human identification [thesis]. University of Illinois at Chicago; 2014.

※本記事は情報提供を目的としており、診断・治療の代わりとなるものではありません。症状やお悩みの詳細については、お近くの歯科・医療機関にご相談ください。

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